ついに行ってきました、
「Salon de l’agriculture
(サロン ド アグリキュルチュール)」へ!
…といっても、殆どの方は「何それ?」って
感じでしょうか。
毎年春先にパリで開かれる
超巨大な農業の見本市なんです!
本来は、農業関係者の発表会みたいな
ものじゃないかと思うのですが、
一般の方もチケットを買って入場できます。
農業、畜産業、フランス各地の食文化に関する
様々な展示やブースを回り、
ハムやチーズ、お菓子などの名産品を
買ったり食べたり、
動物たちと触れ合ったりすることもできます。
老若男女たくさんの人々が訪れていて
家族連れも多く
食育の一環にもなっているみたいですね。
食べものの神様にお仕えする私(笑)としては
是非一度訪れておきたいところです。
2012年の入場料は大人12ユーロ。
学生証を提示すると
学割料金で半額の6ユーロでした。
(■2021年はコロナの影響で残念ながら
開催されませんでしたが、
2022年には復活。
大人15ユーロ、子供8ユーロ、
2/26〜3/6の開催でした)
それにしてもこのイベント、
会場がもの凄く広くて、
見るものが多すぎて、
食べてみたいものも多すぎて…、
土曜日の朝10時半頃〜夕方17時半まで
約7時間、15000歩ほど歩き回っても、
とても全部は回りきれませんでした。
とにかく歩ける靴での参加推奨。
日本で言うと、東京ビックサイトの展示棟を
「7棟」使って開催する広さ。
農業の展示だけでそんなにブースがでるとは…
一体どういう状況!?
とはいっても、なかなか観光で
このイベントを見るという方も
少ないと思いますので、
今回の記事では写真多めにして
会場に行った気分を皆さんにお届けしたいと思います。
フランスの「食」の本気をお伝え!
パリ15区のコンベンションセンター、Porte de Versaiilesへ!
メトロか路面電車のPorte de Versailles駅を
降りてすぐ、
広大なコンベンションセンターがあります。
秋にはサロンドショコラもここで開催されます。
チケットを購入して入場してみたものの、
広すぎて、もうどこから見ていいのか分からない…。
とりあえず、目の前の展示棟にちょっと入ってみるか…
入り口のホールで既にこの混雑。
どうやら目の前の黒とピンクのブースは、
ブルターニュ地方の食材展示会場らしい。
クレープ、ビール、海産物(漁業も有った!)
その他ブルターニュの名産品がいっぱい。
これだと、フランスの各地方から
パリに出てきている人たちも、
故郷の味に出会えて嬉しいかもしれない。
とにかく来場者が多く、
背の小さい私はなかなか写真も撮れない。
歩き回りつつまずは雰囲気を観察。
こんなふうに
フランス各地の食材ブースが集まるエリアでは
試食&購入しまくれますよ!
ワインもビールもハムもチーズもソーセージも
なんでもあり!!!
あちこちに、このような棟内案内図が出ています。
この棟には
「世界各国の農業&食文化」コーナーがあって、
の中でも結構大きめの日本ブースがあるらしく
しっかりと案内表示が出ていました。
(ちょっと嬉しい)
なんと、家畜達も大集結。
このイベント、驚くことにフランス各地から
家畜達が実際にここに集められて、
期間中このパリで過ごすらしいってこと。
(たまに、パリ市内でもここに移動してくる
家畜達の行列に行き合うことがあるそうです。
近場の動物たちの移動は徒歩なのかな。)
春だから、牛も羊も出産シーズン。
こんなに小さな子羊が
おかーさんによじのぼってます。
時々、会場内で
交通整理が始まるから何かと思うと
牛のお通りです。
ちなみに動物達は
歩きながらフツーにフンもしますので
会場にはフン掃除のスタッフもいます。
でも、ブースを見て回るのに夢中で
気付かずブツを踏んでるお客さん達もいます…。
足元には気をつけよう。
(汚れても何とかなる靴推奨です)
牛の行列の行き先を追いかけてみると
なんと搾乳会場があって、
搾乳の時間帯になるとこの人だかり!
なるほど、会期中は動物達も
ここで寝泊まりするわけで、
そうすると普通に餌やり、搾乳の時間も
あるわけだ。
で、それをお客さん達に実際に説明して、
そのまま見せるという。
生き物と食物の展示が、並んでいる意味。日本とフランスの違い
そして…
この見本市で感じた
日本との一番の文化的違いは
「生きている動物と、
食材になった状態の動物を、
同時に並べて展示している」ところです。
この鳥たちのブースのすぐ近くに
鶏肉ブースがある。結構まるごとの姿で。
生きている牛や豚は
品種や特徴を説明するパネル類と一緒に
のんびり寝そべって干し草を食べてたり。
すぐその横で
牛肉やハムの試食や販売が行われてるんですね。
実際に見て、最初は、ちょっと驚きました。
こんなふうに、
むき出しのいのちを目の当たりにする機会は
今の日本では非常に少なくなりましたから。
でも、
いのちを食べて生きているんだという現実を、
最近の日本人は忘れたみたいになっていて、
私はその現状に違和感も感じています。
(かくいう私が完全にいのちを食べている事実を
日々体感できている訳ではないのですが…)
食文化や歴史の違いも確かにあります。
(そもそも日本の一般人が
牛肉を食べ始めたのって明治からだし)
東日本大震災の後、
まるで工業製品の話をするかのような口ぶりで
食品の安全を訴える人たちに対し
「生き物相手だから、工場で何か作るのとは
わけが違うんじゃないかな」…って
言いたくて仕方なかった時期がありました。
上手く言えませんけど。
なんか気色わるかった。
なんか変だなと。
例えば、給食用の牛乳の消費がない夏休みでも
牛のお乳は止められません。牛は機械じゃない。
それならバター等に加工するという方法もあるけど
消費者も産業の構造を理解して
上手に食べて(飲んで)
供給者と支え合っていかなきゃっていう感覚とか。
生産者さんだけじゃなく
「消費している自分たち」も
いきもの相手にしてるんだっていう感覚が
希薄になっているのは怖いことだと思っています。
牛乳パックに
「乳脂肪分◯%」って年中書いてあるけど
そもそも夏は脂肪分少なめ、
冬は濃いめの牛乳がでるんだと知るだけで、
相手が動物だってことが感じられる。
(夏はさっぱり味の牛乳がでるって思えば合理的だ)
ここフランスでも
例えば卵がニワトリから産まれることを
知らない子供も増えてるらしいですね。
このイベントに来ている親達が、
小さな子供に、いのちを食べて生きている、
そんな話をそれとなく伝えていっている部分も
あるみたいです。
というわけで、東京ドーム10個分に
食に対するエネルギーがつまった見本市。
2月から3月開催と、
パリの観光シーズンのイベントではありませんが
「トゥール・ダルジャン」で鴨料理のコースを
いただく以上に、別の側面からフランスの食を
知ることができるイベントかもしれません。
当マニアックパリ生活ブログ的には、超、おすすめします。
…ちょっとだけ続きます。
コメント