同性婚と養子縁組、愛の国フランスの複雑な状況

フランス社会・街並み・建築
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昨日から、ラジオでもテレビでも、
”Mariage pour tous”
(結婚制度は全ての人のために)
の話で、もちきりです。

既に同性婚については、
国内世論の半数以上が認めているので
可決されるのでしょうが、
問題は「養子縁組」について。

同性婚における養子縁組、何が複雑か

(画像:Unsplashより)

養子縁組については、3つのケースが考えられます。
①どちらかの実子を養子縁組
②孤児を養子縁組
③PMS(人工授精)、代理出産の子供

カップルが順調なうちは良いんです。
しかしここは、離婚率の高いフランス。

③のケースにおいては、
カップルが離婚あるいは死別した場合の
「面会権」「養育費」等を、
法律でどう整理するかが
少々複雑だということが判ってきました。

以前にこのブログでも
フランスの離婚率は50%を既に超え、
自分と血のつながらない親と暮らす子供の数も
160万人を超えている事を書きました。

そして同性カップルに育てられている子供も
少なくとも4万人以上は居ます。
その中で、
カップルが離婚あるいは死別した場合の
の裁判も始まっており、
取扱いの難しさが具体的になってきたようです。

かつてフランスの中で
同性愛は精神病の一つだと
言われたこともあったそうです。
(2000年にPACS制度ができる以前は特に…)

それを考えると、
その頃とはフランスの制度や議論の内容も
だいぶ変わってきたように感じます。

よく取り上げられている論点

「子供には、父親と母親、両方の性別の存在が必要だ」という意見に対する小児精神科の調査結果は?

(クラスメートのシスター達が持参していた
 カトリック系のチラシにもこの記載あり)
   
「同性カップルの元では、
 子供の将来の志向が偏る」などと
言われていたそうですが…

こちらに関しては
既に、多くの子供達が同性カップルの元で育ち
小児精神科が調査も行っていまして、
「特にそういった偏向はない」と
結果がでているそうです。

むしろ、異性カップルの元でも
「仲の悪い親」の元で育つ方が
子供の精神発達に悪影響があるらしく…
両性居りゃいいってもんじゃない、って結果です。

「養子に対し悪い扱いをする同棲カップルが沢山でるのでは?」という偏見

これ酷い偏見だと思うのですが、
虐待や搾取目的で養子を取る
同棲カップルが出るのでは、
という議論があったそうで…、
(そんなわけないだろ!)
   
こちらに関しても
「同性カップル」が特に子供を虐待するという
データは2013年現在、でていません。

むしろ日本なんて、
異性カップルでも児童虐待の発覚数は
増えるばかり…

今、フランスのメディアでは、
同性カップルの元で育っている子供への
インタビューがよく流れています。
「実際に、子供達の立場からみて
 家族がどうとらえられているのか」
を彼らの口から聞こう、という意図でしょうか。

(画像:Unsplashより)

参考:PACSと養子制度

PACSでは、同性異性カップル問わず、養子をとる事は認められていない

現在、同性カップルが養子を希望する場合は
片方が「独身である」と申請して、
養子縁組みの手続きをするそうです。

確かに、PACSは
「結婚」じゃなくて
「契約」制度だから、
婚姻してない人は独身、
ってことでいいのか…。

既に子供がいる人同士でPACSをした場合、子供の親権は?

この場合、血縁の親、
または養子縁組を行った側の親が、
権利をもつそうです。
この辺りは、比較的シンプルかな…。

(例)
最初に 異性と結婚して
実子か養子、いずれでも子供をもった人が、
次は 同性とPACS締結 する。
あるいは
次は 異性とPACS締結 する…等。
   ↓
ここでPACSを解消すると、
元々の親に
親権がそのまま残る。

※ ちなみにフランスは
 生物学的に親なら、離婚しても共同親権です。

(画像:Unsplashより)

代理母出産、人工授精について

代理母、人工授精については、
人類にとって新しい技術であり
異性カップル間のケースにおいても
まだまだ法や社会制度が整っているとは言えず
世間の共通認識も存在しない。

フランスでは、異性カップルが不妊治療をする場合でも、国内での代理母出産は認められておらず、人工授精のみ認可されている

だから異性カップルも、
不妊で代理出産を望む場合
アメリカ等で代理出産をする。
(すると子供の国籍はアメリカになる。)

そして現在、フランス国内で
同性カップルが
代理母出産、あるいは人工授精で
子供をもうける事は認められていない。

これが今回多く議論されているポイント。

同性カップルが、親のいない子供を養子にとるのではなく、どうしてもどちらかと「血のつながった子供」が欲しい場合は?

現時点では、
ベルギー等、他国に行って
代理母、人工授精等をするしかない。
(これも子供の国籍はフランスではない)

(画像:Unsplashより)

親子関係の裁判

生物学上の父親/母親と、子供の関係。
そして
生物学上は繋がっていない親と子供の
関係というのも問われています…。

例えば今、
男性カップルが代理母出産で子供をもうけた後
離婚したのですが、
精子提供しなかった方の男性の
離婚後の親権について、裁判が行われています。

* * * * *

さて…果たして、同性婚について
30分でどうやってフランス語で
意見論述するか…

愛の国フランスでも、愛だけではカタがつかない問題もあるのだ。

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