レアル広場、全面工事中。

フランス社会・街並み・建築
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今週、パリは急にあたたかくなって
最高気温は12度の予想。
先週から何と一気に10度も上がって、
ずいぶんと外を歩きやすくなりました。

という訳で、久しぶりの街歩き篇。
パリのど真ん中、
シャトレ駅、レアル広場 です。

レアル広場、しばらく工事中で入れません

このブログの常ですが、
「レアル広場」「シャトレ駅」と言っても、
特に人気の観光地という訳ではないから
どこソレ?って方が多いかも。

パリの Charelet駅は、
郊外の住宅地に延びるRERのA線とB線、
それからメトロが5路線も通る大きな駅。
ハブになってる駅、というところでしょうか。

近くにはポンピドーセンターや、
歴史的建造物のパリ市庁舎がありますよ。

さて、そんなパリのど真ん中、
シャトレ駅とその周りの広場が
只今、大改装中!
工事期間も、2010〜2016年と長い。

でも、広場のこんな状態は
今だけしか見られないので
あちこち写真を撮ってきました。

メトロの駅から地上に出たところ

これは完成予想図。

現場の案内看板にあった完成予想イラスト。手前の丸い建物は「パリ証券取引所」

工事現場も、だだっぴろい。
ルーブルの中庭くらいの広さ。

元からあった公園部分を再整備し、新しい商業ビルを作るらしい

下の写真のプレハブの色合わせ、
いいですね。フランスっぽい。
単色ではごく普通の色でも、
組合せ次第でとても心地よい配色になる。

ただの現場事務所だと思いますが、いい配色

子供の遊具がある公園部分は、
今もちゃんと遊べるようになってました。
(土留めの向こう側に見える緑色の球体は、
 滑り台か?)
何だか廃墟っぽい写真になってしまいましたが
遊具があると家族連れにはありがたいよね。

そして、この公園に元々あった、
人のアタマの形の巨大彫刻は
そのまま置いてある。
美しいドーム屋根は、パリの証券取引所。

シュールじゃない?

公園の前には、サントゥスタッシュ教会、
パリ市内最古のパイプオルガンがあるところ。
そして教会の、ホントにど真ん前に、頭部。
すごい存在感…

教会を見上げて昼寝してるみたいな…面白くて何枚も写真撮った

この教会のファサードも美しいので、
工事が終われば、
公園からの良い眺めになりそうです。

そんなに人がいない気がする
パリ証券取引所 Bourse de Commerce。この建物も本当に綺麗ですよねえ…何度も眺めてしまう

金網や板の隙間に張り付きながら、
さんざん工事現場を撮影する不審者(自分)。
その時だけの風景だから、
工事現場ってつい見てしまう。

一通り見て、満足したので、
近くのポンピドーセンターにも行ってきました。
現在、ダリ展を開催中。

(画像:Unsplashから)写真撮り忘れてました

ポンピドーの
6階ギャラリーに行く途中の通路も、
今日はとても眺めがいい。
ここからも
アルの工事現場のクレーンが見えるのだ。

ダリ展は結構混雑していました。
ダリダリだらけで
シュールレアリズムを満喫できます。

アタマがダリ混乱になったところでは、
ふと見上げたシンプルな夕暮れの看板が、
妙に美しく思えるのだ。

レアル広場の地歴がすごかった

話を戻して、レアル広場 Forum des Halles 。
この場所、地歴がなかなか興味深い。

中世から市場があったけれど…

中世、この付近には
パリ市民に親しまれた市場(肉類含む)と、
共同墓地(もちろん土葬)が
近接して存在した場所。
ちなみに駅の近くの噴水付近も、元は墓地だ。

よりによって、この組み合わせ。
墓地には伝染病で死ぬ患者も土葬されてるし、
食料市場にはネズミが居る。

人口が増え、墓は詰め込みすぎて、
石壁が崩れたこともあるそう。
パリ、大変不衛生な街だった…。
死人が増えるよ…。

オスマンのパリ大改造で建て替え

1800年代中盤、オスマン男爵が知事になり、
パリ大改造が始まります。
この時に、
市場の近くに墓地があるのは不衛生だとして
市場建屋の建て替えと
墓地移転が行われました。

新しい建屋は
当時流行のエッフェル塔と同じく
鉄とガラスの建築となります。
(↓同時代のこんな建物もイメージちかいです)

そして墓地は、
1860年の パリ市拡張前には
パリ「市外」だった(要は荒地…)
モンパルナス、モンマルトル、
ペールラシェーズへ移されました。

現在はこの3つの墓地がある場所も
すっかり周辺開発されて
見事にパリの喧騒に囲まれています。
(別記事「旧パリ市境」関連の記事に書きます。)

近代〜現代、パリにさらに人が増え、ついに市場がお引っ越し

建て替えられたレアルの中央市場は
「パリの台所」とも呼ばれるように。

写真家 ロベール・ドアノーも、
パリ市民の生活を支える大切な場所として、
この市場で働く人々や行き交う人の姿を、
残しています。

しかしその後、この市場も、
パリ市人口の更なる増加、施設の老朽化、
衛生管理の難しさなどから、
ついに1969年には、パリ市の南の
ランジスへ移転することになりました。
(ランジス市場は観光ツアーも時々あるようです)

パリ大改造から100年経ったからね…

という訳で
現在、レアル広場の地下には数々の駅、
地上にはショッピングモールと
大きな公園が作られ、週末には
郊外から家族連れが集まる場所にもなりました。

ちょっと裏に行くと怪しいお店があったり
危ない取引もあったりするようなので
夜の女性の慣れない一人歩きは
やめた方がよさそうですけどね。
工事後はどうなるんでしょうか。

いやはや、それにしても…

◾️墓地&食料倉庫
→パリの中央市場
→公園/ショッピングセンター/ハブ駅
なかなかの地歴です。

ちなみに、パリで働く同世代のMさんは、
この付近を歩くと何故か頭が痛くなるって…
(元は墓地だしね)
霊感ゼロの私は全く問題なし。
日本人なら、お清めは塩でいこう。

夏に見てきた
ベルシー地区の再開発でも感じた事ですが、
パリの再開発事業は、
東京の開発事業に比べ
緑地や広場が多く、
商業インフラの匂いというか
ボリュームが少なめだ。

そういう気配の違いとか
匂いの違いとか
力加減の違いとかが
いつもどうしても気になる自分。

現在、パリ市では、総面積の10%にあたる
大改修工事計画を実施中。レアルもその一環。

他にもいろいろと歩いてみますね。

※2022年追記:映画館やショップの揃う新しい商業施設が完成してます↓

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