馬に関する、欧州の食品偽装問題

フランス社会・街並み・建築
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今日のテレビでは、
北朝鮮の核実験のニュース、
そしてローマ法王の退位のニュースが。

退位の理由は
「勤めを果たす力が尽きたから」だという。

そしたら、フランスの新聞に

従者A
従者A

法王様が、馬熱(une fievre de cheval=仏語で高熱)を出された!

従者B
従者B

言わんこっちゃない!だから冷凍食品なんか食べちゃダメっていったんだよ!

なんて一コマ漫画が掲載されてました。
今こちらは、欧州全土を巻き込んだ
「馬肉騒動」のまっただ中なのです。

食品偽装 + 食用に適さない馬の肉が使用されていた問題

現在、大騒ぎになっているのは
欧州の大手食品会社 Findus の提供する
冷凍ラザニアの原材料が、
牛肉と表示されていたのに、
実は馬肉が入っていたというスキャンダルです。

しかもその肉から、馬専用の痛み止めである
フェニルブタニンも検出された。
そもそも食用に適した馬肉でさえなかったと
いうこと。薬物の人間に対する影響は
わずか(三万人に一人程度)だと発表されて
いますけど…。

Findusの商品は、うちの近所ではあまり
みかけないですが、欧州諸国在住の方は
このロゴをみたことあるって方は多いかも。
元々スウェーデン発祥の企業で、
一時期はスイスのネスレに買われたことも
ある会社だ。

フランスも無関係じゃなかった

この事件には続きがあって、今度は
フランスの食品会社 Comigel が、
フランス大手冷凍食品チェーン Picard に
(私も利用してます)
「疑惑の馬肉」を供給していたということが
発覚し、騒ぎがついにフランスにも飛び火。

というか私にも飛び火。
Picardのラザニア、今度買ってみようかなって
思ってたところだ。

日本でもミートホープ社の牛肉偽装事件が
あったけど、ここでもか、欧州よ。

キリスト教圏における馬肉混入の意味

カンタベリー大聖堂(画像:Unsplashから)

それにしても、この馬肉偽装が
最初に発覚したのがイギリスだったから
大変だった。

イギリスでは、732年に「法王によって」
馬肉を食べる事を禁止されて
それを守っているキリスト教徒が
結構いたもんだから…。

宗教的に禁止されている食品を、
知らずに食べさせられていたとなると
いろいろ穏やかではない。

何と他に、馬肉100%の偽装食品まで
見つかってしまい…(牛のふりして)

だから、あの仏新聞の一コマ漫画には
食品偽装ってだけじゃなく
「あれ〜、イギリスって
 法王様が馬肉禁止って言って
 それを守ってたのに
 まさか食べちゃったのぉ?」
くらいの皮肉が含まれているんだろう(ひどい)。

でもって、最近のイギリスからの反撃ネタでは
「フランス野郎は貧乏だから
 馬肉を食べてるんだよ!」
位の事は言っちゃってます。さすがイギリス人。
まあ、この程度の隣国ジョークは欧州の日常茶飯事か。

<参考>
フランスでも、かつてはキリスト教により
馬を食べることは禁止されていたのですが、
1866年、パリ大改造の頃に、法律で馬肉食が
解禁されました。日本だと明治維新の頃です。
(今は、食べる人は少ない)

EU内の食肉流通の仕組みは複雑

(画像:Unsplashから)

この騒動、欧州の食肉流通の仕組みがフクザツで
未だに渦中の会社幹部が、
取引先名を全て明かしていないこともあり、
全容が見えないままです。

あちこちニュースを読んだ限りでは、
 ルーマニアの畜殺場で処理された馬肉を、
 キプロスの流通会社を通して
 (オランダの流通会社も絡むとか)
 フランスの食肉加工会社Spangheroが買い、
 ルクセンブルグのTavola社の工場で加工し、
とかなんとか。EU内でいろいろやってるわけだ。

ルーマニア政府が
「うちの国の管理が悪いんじゃないよ!」
とコメントをだしたりしてて、さらに混乱中。
捜査さえ相当面倒になりそうな匂いがプンプンしてます。

とにかく、まだまだ炎上中。
しかも仏 Comigel社って
欧州16カ国と、手広く取引しているので
更に騒動が広がる可能性もある。

欧州への日本の牛肉輸出、解禁に

肉関係の話でもう一つ。
BSE(いわゆる狂牛病)問題があってから
長い間、欧州には
日本の牛肉を輸出できませんでしたが、
それも最近、ついに解禁になりました。

和牛が、パリでも少し身近になるんだろうか。
渡仏してから、サシの入った牛肉を食べていない。

食料自給率100%でも、いろいろある

それにしても、食料自給率100%超えを誇る
フランスでも、問題はいろいろ起こるんですね。

他にも、何年か前には
仏大手食品会社の Charal で、
牛肉(挽肉パックだったか)の食中毒事件が。
(Steaks hachesって挽肉料理は、
 フランスのカフェによくあるメニューなので
 結構身近な話です。私も食べるし…)

自給率の問題だけじゃない、
ちゃんとつくって供給するって
どの国でも大変なのだ。
頑張ってる生産者の皆さんを応援したい。
ちゃんと作られた商品を選んで買う事が、
一番の応援になる。

購買行動は、投票と同じだ。

そもそも、
そんなにあちこちの会社が関わった食品が
結構安い値段でスーパーに並ぶって事。
中身は推して知るべし。

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