パリの中でも比較的新しい美術館
2007年オープンのピナコテーク・ド・パリ。
ガイドブックなどでは「パリ絵画館」と
紹介されているかもしれません。
マドレーヌ広場の、
フォションのすぐ目の前にある美術館です。
(◾️2016年、財政難で閉館となりました。
パリの同時多発テロによる入場者数減が
大きかったそうで…残念…)
歌川広重とゴッホ展
現在は「歌川広重&ゴッホ展」が開催中。
今日も、若者から年配者まで
あきらかに観光客ではない、地元の人たちが
一心に広重の版画を見つめていました。
浮世絵、人気有るんだなあと実感します。
私も浮世絵は大好きです。
横浜美術館の、広重の「東海道五十三次」も
素晴らしいし、パリに来てまで
江戸百景の巨大アートブックを買ってしまう程
好きです。
あの構図がたまらない。
今回は、東海道五十三次だけではなく
木曽街道六十九次の展示や
江戸時代の旅アイテムも展示されていました。
籠、草履、旅用まくらとか。
日本人が見ても面白い企画です。
しかし殆どが
オランダのライデン国立民俗学博物館からの
借り物で、日本から持ってきたものは無かった…
浮世絵文化の流出ってすごい。
日本から何も借りずに展示会できるってすごい
(泣)
シーボルトさんが持ってったのでしょうか。
ゴッホが広重を模写していたのは有名ですが、
今回は、何と
「広重のココの部分を、
ゴッホはコノ絵のココで使ってるよ!」という
マニアックな比較展示をしていたのも
とても見応えがありました。
デニス・ルーブル LOW TIDE – Le Japon du chaos展
さて、昨日、日本国外では3.11というと
原発の話を思い浮かべる人が多いと
ブログに書きましたが、
「広重&ゴッホ展」と同時開催の写真展
デニス・ルーブル
「LOW TIDE – Le Japon du chaos」
の話も書いておきます。
デニス・ルーブルは、フランス人写真家。
2011年11月と、2012年2月に、
被災地を実際に歩き
津波に全て押し流された風景を撮りました。
そして彼は、仮設住宅を一軒ずつ訪ね歩き、
被災者の方々に
ポートレートを撮らせて頂けないかと
頼んで歩いたのだそうです。
彼自身は、もちろん日本語は話せません。
でも、何か残したい、伝えたいという思いで、
一軒ずつ歩いて廻り
協力してくださる方を探しました。
「こんな事を今頼んだら、
被災者の方を傷つけてしまうのではないか」
そんな不安も持ちながら…。
それでも
徐々に撮影に協力してくださる方が現れ、
役所の一角に設けた撮影ブースで、
お一人ずつのポートレートを撮っていったのです。
その写真。
背景は漆黒。
ただ、その人のありのままの顔に、
光をあてて、撮る。
ごくシンプルな写真。
60センチ角の正方形パネルに
お一人ずつの写真。
私は濃いグレーの壁の展示室に立ち、
「日本人って、こんな顔してたかな」と思い…
何故だか突然、涙が出てきたのでした。
今も被災地では、復興が進まず、
手つかずになっている場所も沢山有ると思います。
3.11の後、日本人が
驚異的な冷静さと互いへの寛容で
助け合って生きた姿は
(それだけではない現実もあったにせよ)
今でも諸外国の人たちの記憶に残っています。
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