涼しくなってきてから
うちの水道水の味が変わりました。
今日は、パリの水道水のお話。
猛暑のパリ。水道水の匂いが変わる
今年の夏、お茶をわかして冷やそうとしたら
うちの水道水から、何だか藻の匂いがしていて
とても飲めたものではありませんでした。
ブリタを通しても無臭にはできず、
一体どうしたんだろうと、いぶかしんでいたのです。
今までこんな匂いがした事は無かったんですけどね。
建物の給水設備に何かあったか。
もっと大元の水源の問題か。
ひとり考えた、元、建築屋…。
外食で口にした水で気づいたこと
そんなある日。
パリ1区のリボリ通りにある、アンジェリーナに立寄り、
ミルフォイユとアイス珈琲を頼みました。
パリのアイス珈琲は、大抵ベトナム式で
最初から甘いシロップが
たっぷり入ってることが多いのですが、
アンジェリーナのアイス珈琲も
なんとそっち系でした…しまった…。
(甘くて苦手)
ルーブル美術館のカフェ・モリアンも同じだけど
ごく甘い上に、氷は殆ど溶けて
ぬるい状態で供されます。
日本のケーキの倍はありそうな
巨大で甘いミルフォイユだから、
ほろ苦アイスコーヒーが飲みたかったんだけどね。
教訓。
パリで「無糖で、ちゃんと冷えた」アイスコーヒーが
飲みたい場合は、スターバックスへ直行すべし!
さて、ここでお店の人が
私は頼んでいなかったのですが
カラフに入った冷たい水(水道水。無料です)を
すっと持ってきてくれました。
おお、ありがたい。甘くないもの、のみたかった。
しかし!
それをひとくち飲んで、びっくり!
「あれ?うちの水と同じ味がする!(藻の匂いが…)」
なぜ????
パリの水源は区ごとに違う
というのは。
パリの水源は、区によって違うと聞いていたから。
我が家は15区で、アンジェリーナのお店は1区。
セーヌを挟んだ両側の区なんです。
いくらなんでも、
それなら水源は別なんじゃないかと思いませんか?
同じ味がするなんておかしいなと、不思議に思いつつ
店をでました。
「水に親しむ1週間」で、水源の区分けが判明
さて、また別なある日のこと。
フランスで「水に親しむ1週間」という
イベントが開催されました。
パリならばセーヌ川沿いで、
様々なライブやアートパフォーマンスがあったり、
あるいは水源地を見学できたり、
地下の水路に入れたりします。
カヌーに乗っての川下りや、
水辺の遊び方のレクチャーもあるのです。
この時に私は、16区にあるパリ水道公社の施設
Pavillon de l’Eau(ここは年中やってますが)を
見学してきました。
本当は、水源地を見学したかったのですが、
長靴だのなんだの、いろいろ装備が必要だったので、
そっちは諦めたのです。
(その為だけに長靴買うのも…帰国時を考えると…)
でも、この施設見学でいろいろな発見がありました。
例えば。
パリ市の周辺には農地が広がっていて、
そういう農家さんが
マルシェに野菜を売りにくる訳ですが、
その農地とパリの水源は
わりと近い位置関係にあるのです。
だから
皆がマルシェでBIO野菜を買うことにより
農薬の使用が減り、
結果として自分達の水源を
汚染から守ることができると…
そんな、住と農が接近しているパリだからこそ
切実な話も、知る事ができました。
このイベントで、
子供用のクイズパンフレットを貰ってきました。
(わかりやすそうだったので)
最近、それを久々に引っ張りだしてきて、
何気なくぱらぱらと見ていたら、こんな図を発見。
何とこれ、パリの水源マップ。
これをみて再度ビックリ。
うち(15区北部)と、アンジェリーナ(1区)は
同じ水源の水を使っていたんです!
水源だけでなく、季節によっても水の味が激変するパリ
やっぱりそうだ!
私の味覚と嗅覚はだまされない!
しかしまさか
セーヌ川の向こう岸と同じ水だったとは…
自分の感覚の正しさに
思わずガッツポーズをとった瞬間でした。
どうぶつ並みの嗅覚か。
そして…
9月になり、寒暖の差が激しいものの、
もう30℃近い暑さになる事は、
殆どなくなりました。
気付けば、
うちの水道のお水の匂いが、元に戻ってる。
これならば!と
ブリタの浄水カートリッジを再度買ってきて、
浄水でお米をとぎ、炊いてみました。
(実は、夏の間は水が臭くて、米も研げないし
ペットボトル生活で、炊事の水に苦労してた)
うん。
これなら、食べられる。
たぶん今月は、
アンジェリーナのお水も、元に戻ってるはず。
というわけで、いろんな点と点がつながって、
パリの水の謎が、一つ解けました。
私の趣味は、世界のひみつさがしです。
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