フランス人の銀行との付き合い方。

フランス社会・街並み・建築
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最近、パリカトの商業フランス語の授業で
フランスの銀行についての新聞記事を読みました。

それによると
一個人が銀行とどう付き合っているのかが
日本と大分違うシステムになっているようです。
という訳で、今日はいろいろ、銀行のお話。

昔の話:フランスで女性が口座を持てるようになった時期

シテ島の Square du Vert Galant

そもそもフランスで
女性が個人で銀行口座を持てるようになったのは
たしか “mai 68” 以降。
1968年の学生闘争の後になって、やっとです。
日本でいう「五月革命」ですかね。

この頃、ベトナム戦争を背景に
日本やアメリカと同じく、フランスでも至る所で
学生運動が盛んでした。

この頃のフランスで、
女性の中絶が法的に認められたりとか、
女性の権利関連で大きな変化が有ったのは
知っていたけれど、1968年以前に
女性が個人口座さえ持てなかったというのは、
今の時代の私達から考えると、ちょっと驚く。
というか、そもそも無くても困らなかったってこと?

そういえば、日本ではいつから女性も個人口座を
持てるようになったのかは、日本の国立国会図書館の
レファレンスに、こんな回答が寄せられています↓

日本のほうがちょっと早かったかも?
そんな歴史の話もありつつ…

現代の話:個人がフランスで銀行口座を作るタイミング

シテ島の Square du Vert Galant

さて、外国人留学生の場合。
フランスに到着して、まず銀行口座を作りますが、
フランス企業に就職して永住するとか
フランス人と結婚とかってならない限り、
銀行と長い付き合いになる事はなさそうなので、
最初に銀行から「こういう口座になります」と
説明を受け、その通りに口座を開いて、
そのまま使っていくだけって事が殆どです。
(口座維持手数料がかかるのかー、とかその程度)

フランス人の場合、銀行との付き合いは
大学生くらいになってから、というのが多いようです。
大学に行って親元を離れ、自分で生活費の管理を
したり、アルバイトを始めたりしますからね。
その辺は日本の学生と同じ。

そして、商業系の専門学校や
(スポーツ系とかはダメらしい)
卒業後の就職が期待できる大学の学生であれば、
銀行は、学生が口座を開きやすいように
臨時窓口を設けるなど、便宜を図っています。
(パリカトにもそういう銀行との付き合い有り。)

学生達が卒業後に、就職して稼げれば
学生時代から使い慣れた銀行の
贔屓客になってくれる事を期待してのことです。

そして、幸運にも、卒業後に就職できた人は、
(いまやフランスの大学卒業生は
 25%が就職できていませんので…)
貯金したり、保険をかけたり、家を買ったりします。

フランスの銀行利用手数料が、人によってバラバラな理由

シテ島の Square du Vert Galant

さて、ここからが日本とフランスの違うところ。
フランス人は、銀行に対して、
◾️保険商品(火災、生命、車、損害等々)を
 購入したり、
◾️車、住宅、バカンスのローンを組んだり、
◾️ボーナスが入ってそれを運用にまわしたり、
そんな「機会」を利用して
自分の口座にかかってくる諸経費等を下げるよう
個人個人で条件交渉するんです!

バカンスのためにローンを組むフランス人

シテ島のサントシャペル教会

それにしても…
バカンスに行く金も、ローンなのだ。
お金がなくても、行く人は行くのだ。
まあ、後で返せる見込みのある人に限りますが。

※この辺の感覚も、日本人とはちょっと違う。
 日本人はお金がない時に、借金してまで
 バカンスに行く人はまだ少数派だ。

最近はローンで遊ぶ余裕がない層が、
バカンス時期のパリに、出かけず残っているという
現象も。

フランスの銀行口座にかかる費用

シテ島 サントシャペル教会のステンドグラス

フランスの口座にかかる経費というと…
◾️ネット口座の利用料
 (振込手数料とか)
◾️国際デビットカードの利用手数料
◾️ユーロ圏以外でのATMでの現金引出手数料
◾️家賃等の、自動引き落としの手数料
  (なんとこれ、有料です。
   毎月、自分で手作業で振り込めばタダで済む)
◾️家族が出来れば、家族カードの利用料
  (離婚も多いから、入れ替えも大変そうですが)
…などなど。

それから、小切手の支払や、
様々な自動引き落としの際に、
たまたま口座に現金が足りなくて
引き落としが出来なかった場合、
銀行からその旨の警告メールか電話が来ます。
すると…

◾️警告手数料として、
 1回につき6〜9€くらい取られるんです…。

そしてこれも交渉次第で、
警告手数料の金額が変わります。

留学生によくあるパターンだと、
アロカの支払が何かしらで滞って(よくある…)
インターネットや電話、電気代の支払の期日に
たまたま口座のお金がたりないとか、ですね。

日本人は、銀行口座を持っているからって、
(自営業者は別として)
サラリーマンがわざわざアポをとって
銀行の担当者と定期的に会ったりはしません。

フランスでは、理想的には年に1回とか、
定期的に銀行に赴き、
頑張って交渉するものなんだそうです。
「ネット利用料、タダにして!」とか。

というわけで、
フランスの個人銀行口座のサービスは、
カスタマイズ方式らしい。

短期の付き合いの、留学生には無理な話ですけどね(笑)

ローンに対する考え方は、お国それぞれ

シテ島のサントシャペル教会

ちなみに、フランス人曰く、イギリス人のほうが、
口座を赤字にしている(借金をしている)ケースが
多いそうなのですが、それはそもそも
銀行という金融サービス発祥の地だからこそ、
そこまでとことん利用できるサービスとして
抵抗感が無いらしいです。
(オランダも同じ傾向のこと)

日本だと、ある一部の高給取りの会社の人たちが
住宅ローンを借りたい時、
定期的に自分の職場にやってくる銀行員から
特別な条件で借りられる…っていうのはありますが
(既に、個人的にその銀行の上客だってこと)
普通のサラリーマンで、こんな個人交渉はできない。

フランス人、普段から個人で
銀行とこんな交渉をやってるんです。
交渉上手にもなるわけだ。

暮らしのサービスにも、お国柄がでてる。

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