フランスのフォアグラのお話。

フランス社会・街並み・建築
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遅ればせながら、ノエルの食のお話を。
フランス料理が、ユネスコの無形文化遺産に
選ばれているのは、味というより
こういう行事ごとのお祝い料理の習慣を
評価されての事ですから。季節の食べ物、重要です。

フランスで、クリスマスの食卓に欠かせないもの

ノエルのジョルジュサンク通り

ケーキだったら日本でもおなじみ Bûche de Noël。

前菜には、エスカルゴならブルゴーニュ産を。
あるいは生牡蠣なんかも良いでしょう。
魚屋さんで山盛りになって売られています。

そういえばフランスで牡蠣の養殖を始めさせたのは
ナポレオンなんです。
今につながるフランスの産業を
いろいろ起こした重要人物、ナポレオン。

サーモンの産地

ノエルのジョルジュサンク通り

そしてスモークサーモンもオススメですが
食文化クラスの先生が熱く語っていたのは
産地を選ぶのが大切なんだとか。

例えば、ノルウェー産のサーモンは
昨今だいぶ工業的な養殖方法を採用していて
2004年のサイエンス誌に残留汚染物質の多さが
発表されたりと、安全性を疑問視する声があります。

まあ、そんなにサーモンを常食してないから
大量摂取しないし気にしないという意見も
あるでしょうが、人それぞれです。

ちなみにノルウェー産はパリでも他所産より安価で、
アイルランドやスコットランド産は少しだけ高い。
気になる人はそちらがいいかも。

鴨のフォアグラと、ガチョウのフォアグラ

ノエルのジョルジュサンク通り

そして…フォアグラ!
ラファイエットのフォアグラ売り場も
ノエル時期は大盛況でした。
実はこのフォアグラ、鴨とガチョウの
2種類あるんです。

よく見かけるのは、鴨(Canard)のフォアグラ。
ガチョウ(Oie)のフォアグラは、
日本ではあまり見ないかも…
というのは、そもそも生産量がとても少ないからなのです。

フランスのフォアグラ生産量のうち、
ガチョウのは、たった8%。
あとの92%は全部、鴨です。

ガチョウってどんな鳥?

ノエルのジョルジュサンク通り

童話「ニルスの不思議な旅」で、
ニルスが乗っている鳥が、ガチョウのモルテン君。

渡り鳥の雁の群れに「飛べない鳥だ」とバカにされ
思わず自分も渡り鳥の旅に参加してしまった
あの威勢のいい鳥が、ガチョウです(笑)
いえ、本当のガチョウがどんな性格かは知りませんが…

ちなみに、鴨よりガチョウの方が体が大きいので、
ガチョウを育てるのには結構時間がかかります。
だから大量生産には向かないんですね。

ゆえに
フランス人でも食べた事がないという人も多く
知る人ぞ知る食材になっているんです。

ガチョウのフォアグラ(Foie gras d’oie)の特徴と食べ方

ノエルのジョルジュサンク通り

ガチョウのフォアグラの特徴は、
軽い食感だけど
鴨よりも口にべたっとした脂っぽさは残らず
それでもいい風味だけ
ふんわり口に広がって残るところ。

だと思う。

アルザスのフォアグラ

フォアグラブロックのスライスなら
小麦粉を軽くふって、
フライパンで両面軽く焼くだけで、おいしい。
甘めのバルサミコ酢やソース、
イチジクのコンフィチュールとよく合います。

もしフォアグラをパンに塗って前菜にするなら、
フォアグラの滑らかさを楽しむ為に、
フランスパンのような固いパンではなく、
ブリオッシュやパンドミなど
柔らかめのパンを合わせましょう。
(フォアグラにバゲットは、ミスマッチともされています)

ユダヤ人の食べ物だったフォアグラが、フランスに入ってきた訳

ノエルのジョルジュサンク通り

もともとフォアグラは、ユダヤ人の食べ物でした。

中欧で迫害されて、フランスに流れてきたユダヤ人が
フランスのアルザス地方等に住み着いた訳ですが、
彼等は、料理に豚等の脂を使わず
鴨やガチョウの脂を料理に使っていたのです。

そして、フォアグラ文化はフランスにも浸透し、
今ではフランスのクリスマスの食卓に
欠かせないものになりました。

さらにさかのぼれば、フォアグラ生産自体は、
古代エジプト人が始めたものです。
あ、出エジプト紀→ユダヤか。

フォアグラの生産方法、鳥の餌は何を与えているのか

ノエルのジョルジュサンク通り

大体2週間くらいの間、カモやガチョウに
1日3回の食事を与えて、太らせます。

トウモロコシを餌にする事が多いけれど、
たまにイチジクを食べさせて育てる場合も。

トウモロコシ生産が盛んなフランス南西部でも
(スペインに近いところ)
よくフォアグラを生産していますね。
(餌が豊富だから)

ちなみに、ローマ人は
イチジクを餌にしてフォアグラを作っていました。
イチジクはラテン語で「ficatum」。
これがフォアグラの「foie」の語源です。

フォアグラ、生産者によっては
相当工業的なやり方をしている場合があります。
動物愛護団体が文句を言っていますが、
狭いケージに、鳥をぎゅうぎゅうに詰め込んで飼い
鳥同士がぶつかって、傷ついて死んでしまうような
状態のところもあり…。

フランスで、安い東欧産フォアグラが出回った頃に、
それに負けじと、ぎゅうぎゅう飼育をしてしまった
フランス農家も多かった。
(安く作るにはそれしかないって…??)

現在は、鳥を太らせる過程でも、
鳥3羽が羽を広げて動けるくらいのスペースを
確保するよう、一応指導がされています。

まあ元々ガチョウは、
体も大きいし(場所をとる)
時間かかるし(経費もかかる)
安価に育てたい工業的増産ラインには、
そもそものらなかったと思われますが…

ぎゅうぎゅうにされてたのは、ほとんどカモか。
(かわいそう…)

ともあれ…
個人的意見ではありますが、
ガチョウのフォアグラをお求めでしたら、
アルザス地方のストラスブール産をぜひ一度。
軽さと風味のバランスが非常によろしい。

ノエルのジョルジュサンク通り

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