和食は水が大切。

食生活
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唐突に、久々に、
ちゃんとした和食を食べたい今日この頃。

渡仏以来の自炊生活で
体調管理のためにも
日本食材はそれなりに口にしています。

でも、8ヶ月ほど経った今
自宅で作れないタイプの和食
無性に食べたくなってきた。
(この気持ち、伝わるでしょうか?)

近所にいいお店が無いか
ネットで調べてみたところ、
よさそうなところを発見。
うちとおなじ15区で、
時々行ってる日本食材屋にも近い。

もちろん、オペラ地区まで行けば
和食の店は各種ありますが、
近所のお店も試しておこうかと。 

残念ながら「ニセ和食屋」も多いパリ

今宵はとにかく
「日本人じゃない経営者がやってる
 あやしい和食屋」は除外して、
お店を探しました。

パリに多いこの手のニセ和食屋は、
どこも大体同じフォントの看板で、
似たようなメニューの寄せ集め
(サーモン寿司、天ぷら、焼き鳥)
だったりするから、
出店プロデュースしている輩がいるんだろう。

クラスメートに誘われて入ったことがあるけど
個人的にはお金を払って食べる意味が
全くなかったので、二度と行かない。

おそらくは
人生で本当の日本食を味わったことが
ないであろう輩が作る、
謎の味付けの食べ物ばかり。
ま、パリに限らず海外の大都市には、
ニセ和食屋が結構ある。
さぞ儲かるんだろうよ。

食の都パリで、
ユネスコ無形文化遺産たる和食が、
なんという有り様か。

日本とフランス、カウンター席の意味合いの違い

というわけで、
15区の某日本食レストランに行ってみました。

スタッフの方は日本人ばかりで
店の内装も日本と変わらなかったので、
一瞬、ここがフランスだということを
忘れてしまいそうになる。

ディナータイムに予約したカウンター席で、
ひとつひとつの料理が
出来上がっていくのを見るのは
本当に楽しかった。

そういえば、カウンター席での
「食事エンターテイメント」も久しぶり。

フランス人にとって
バーやカフェで「カウンター席」というと
一番「安く呑める席」という扱いなので、
日本とイメージが違います。

例えば同じ飲み物を頼んでも
カウンター席なら安いってことがあるので、
パッと呑みたい人、安く呑みたい人は、
カウンター席が好都合。

日本だと、普段使いの店で、
席によって値段が違うっていうのは
あまり無いですけどね。

一方、日本のカウンター席は、
板前さんや料理人さんの手仕事を眺めつつ、
美しい料理を堪能できる場所。
だから寿司屋のカウンター席ってなると、
大いにわくわくする食事イベントとなる。

(ちなみに、今夜来ているお店は
 日本式システムなので、
 カウンターでもテーブルでも
 値段設定は同じでした)

8ヶ月ぶりの、日本気分。

最初にこんなふうに、ちょっとずついろいろ出てくるだけで懐かしい。左上のグラスは南蛮漬け、刺身はまぐろ、サーモン、鯛。左下は出し入り卵焼き。

フランスに来て初めて、
食事の前の「布おしぼり」を出されました。

家を出る前に手を洗ってから来たけれど、
久々の温かいタオルのおしぼりは、
さっぱりして気持ちがよかった。

お食事の内容も十分なもので、
ホントに日本で食事している気分になれました。
コース料理でおなかも満たされましたが、
何よりココロが満たされたのでした。

食事って、ほんとうに元気付けられる。

お醤油も、シェフが昆布等を用いて
オリジナルの味にしているそう。
お刺身もお寿司も、これで頂くのです。
塩辛くない、でも甘すぎない、まろやかな旨味。

サーモン以外のお寿司が嬉しい(こっちのスーパーのパック寿司はサーモンばかりなので)。ちなみに日本でサーモンのお寿司が出始めたのは1980年代。北欧のノルウェーが養殖サーモンの冷凍技術を発展させて、日本への輸出販路を広げました。

大切なのは、たぶん水。

そして何より。
つきだしの南蛮漬けの出汁を、
ちょっと味わってみたとき。
それからお味噌汁を頂いたとき。

「あれ?パリの水の味じゃないかも?」
と思ったんですよね。

8ヶ月ぶりの「軟水」の味がするお料理に
ものすごく心身が安らいだのでした。
お店の人に「お水は何を使ってますか」とか
聞いた訳じゃないんですが…。あれは絶対、
パリの水道水ベースじゃない味だった。

だって同じ15区なのに、
うちのごはんと違ったんだもの、
煮汁や、味噌汁の水の味が…。
何かいい濾過器でもあるのかな。
(うちにもほしい)

和食の調理は、水を介して
食材に味を入れていくことが多いので、
水の質や硬度はとっても大切。

例えば、関東の中で比較すると、
千葉県の水道水は最も硬質なので、
神奈川県と同じ要領で
お吸い物や味噌汁を作っても、
微妙に味が変わってしまう。

よもや水の味に感動できるとは
思っていなかったので、
予想外の幸せをいただきました。

お店の人に
美味しかったと何度もお礼を言い、
足取りも軽く帰宅しました。
ああ、こんな和食屋が有れば、
パリでも全然生きていける気がしてくる。

そうか、私の人生に結構大事だったのは、水、か。

和牛のステーキも出ました。久しぶりー!

最近はちょっと勉強に煮詰まってて、
自分の「伸び」が感じられず
苦しんでるんですよね。
それでもここ数日は、
ラジオのフラ語の中にも
わかるフレーズが増えてきたんですけど。

新学期にならないと
ホントの成果はわかりませんが、
ちゃんと和食でパワーチャージできたし、
なんかやれそうな気がしてきた。

自分で自分をもてなして、
元気付けるのも、大切です(笑)。

(その後、このお店も味が変わり、
 ついに閉店してしまったようです…。
 パリの本当の和食屋さん、
 応援してます、頑張ってください!)

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