1年経って改めて考える、パリの水道水。

フランス社会・街並み・建築
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今月のパリ、三寒四温というか気温差がすごい。
今日は朝から雪で、
昼過ぎのオペラ座も白く煙っていた。
いかにも寒そうで、欧州の冬っぽい風景だ。

舞い散る雪片が見える

さて。パリに1年暮らして
毎日使ってきた我が家の「水道水」。
料理の際には、キッチン蛇口に取り付けた
ブリタのカートリッジを通して水を使います。

長く住むなら
パリの水にも慣れなきゃいけないかなと思い…
(自分の体が耐えられるか
 人体実験してみたかったっていうのもあるが)

お米を研ぐ時は、ブリタ。
 (炊くのはミネラルウォーター)
鍋物をするときのベースの水も、ブリタ。
味噌汁のお水も、ブリタ。
お茶類も、ブリタ。
と、ブリタ経由の水道水を主に使用して
生活してきました。

でも。
最近、鍋物のお汁を
軟水のミネラルウォーターで作ってみたり、
お茶を軟水で入れてみたりしたんですが、
やはり全然味が違うもので…。
パリの水道水をつかうよりずっと美味しいのだ…

そもそも和食は、水を介して
うまみ成分を染み込ませたり
抽出したりする工程が多い料理。
水の質は重要なんです。

石灰だの、カルシウムだの
マグネシウムだのが多いと、
うまみ成分の
グルタミン酸、グアニル酸、イノシン酸が
軟水使ったときのようには
上手に働いてくれないってこと。

日本国内でだって、東京と京都の水は違う。
京都の水の方が、硬度が低い。
だから、お澄ましの味に
水一つで大きな差が出てくる。

京都の有名料亭が、東京の支店で料理を出すのに
わざわざ大量の水を京都から毎週運んでいるのは
その為です。(菊乃井さんの話)

椀ものの蓋をあけ、
かぐわしい湯気を楽しんでから、
一口、汁を頂くと、
鼻にふわっと抜けていくあの風味…
全て、いいお水があってこそ。

おうちごはんには、水が大事だ。

美味しいお茶が入ったら、美味しいケーキも食べたくなる。

売っている水の判別、いまだに難解。

私は割と鼻がいいので、日本に居る時は
ペットボトルの水だと
容器の匂いがしていやなので
ほとんど飲みません。

エビアン等のミネラルウォーターも、
ガラス瓶で出てくる店でしか注文しません。
ある意味で、その辺は敏感すぎて
生活上、自分でもちょっと面倒臭いです。

だから、ミネラルウォーターというものを
あまり買ったことがなくて、
水の種類には詳しくありませんでした。

でも、パリのスーパーで
ミネラルウォーターを買おうとすると、
物凄い種類のお水が売っていて、
どれがいいのかさっぱりわからない…。

ここからまず「軟水」を選ばなければ。

ざっくり言うと、ラベルの成分表を見て、
Calcium、Magnesiumの数値が少なければよし。

厳密に言うと

Calcium濃度(mg/L)×2.5+Magnesium濃度(mg/L)×4.1

という計算式があるらしいのですが、
スーパーでそんな計算はやってられないし…。

硬度の基準も様々ですが、とりあえず
硬度100以下で軟水って感じか。
(ざっくり)

計算するのも面倒なので、
結局は赤ちゃんマークのついてる商品が
ミネラル少なめと信じて、購入しています。

仮想水の話なんか思い出すと、
あまり遠くから運ばれてきた
ペットボトルの水を使うのにも
ちょっと罪悪感があったりする
気の小さい自分です。大切に使わないと。

洗面やお風呂で使う水の問題

そして料理だけじゃなくて
お風呂にもちょっと気になる水問題がある。

日本と同じ感覚で固形石鹸を使うと
大量の石鹸カスがでるので
排水溝が詰まりやすくなってしまうのです。

固形石鹸生活と、
固形石鹸以外を使う生活を、
数ヶ月ずつ試してみました。
すると排水溝掃除の頻度が、結構変わりました。
(固形石鹸好きとしてはとても悲しいお話…)

フランスで排水トラブルにお困りの方は
石鹸をボディソープを変えてみる方法も
ありそうです。

フランスあるある、アパルトマンの排水トラブル

パリで生活するにあたり、排水トラブルは多く、
学校の先生によると、一回水道屋さんを呼ぶと、
出張料だけで100ユーロ位するとか。

私は昨年5月、自宅の排水管を
自力で修理しましたが、
学校で聞いても自力解決した人は
あまり見たことがありません…。
(それが普通なのかな?)

オスマン様式の古い建物だと
築100年越えになってくるわけで…
ろくに更新されない水道管がどんな状態なのかは
推して知るべしだ。

パリに10年以上暮らしている知人女性宅では
2〜3年に一度くらいは
上の部屋からの水漏れがあるらしい。

日本では考えられないことですが、
できるだけ気をつけて暮らしたほうがいい。

世界的に見ると、日本の水道は頑張ってます

先日知ったのですが、
神奈川県横浜市の水道局が
面白い取り組みをしています。

現在の日本は
都市インフラが既に出来上がってて、
新しい水道管を
広域にゼロから敷設する機会は
ほぼないですよね。

なので、若手の水道局員を、
アフリカ等の
これから水インフラを構築する国に派遣して
ゼロから水道システムを作る実践経験を
積ませているのだそうです。

日本では、そろそろ寿命の来ている
水道管をメンテナンスする時期ですが、
メンテナンスを続けるのと
ゼロから作るのは
仕事内容も大分違いますからね。

ちなみに、世界的に見ると、
日本はメンテもうまく行っている方で、
漏水率の低さも日本の水道の特徴です。

漏水率とは、各家庭に水が届くまでに
どれくらいの水が漏れているかを示すもので、
フランス南部やロンドンで20%を超える中、
東京や福岡は3%前後と
かなり低い数字になっています。

パリは5%程度。ってことは、パリの問題は、
一向に更新されない建物内の水道管かな。

日本は本当に水に恵まれている。
そして日々そのインフラのメンテナンスを
してくださっている方々にも、本当に感謝です。

水道屋さん、今日もお水をありがとう。

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