ブリュッセル旅行記④ ラーケン公園で、日本の秋に出会う。Tour Japonaiseへ。

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ブリュッセル北部にある
「アトミウム」という建物で有名な
ラーケン公園(Parc de Laeken)。

原子のような形の「アトミウム」。内部は展望台になっているそうです。(画像:Unsplashから)

この公園の一角に
1900年のパリ万博で使用されていた
当時の「日本パビリオン」が移築され
今も残っているのをご存知でしょうか。

パリ万博の「日本パビリオン」が、ベルギーに在る理由

ベルギーの王様、レオポルド2世が、
パリで万博のパビリオンを見て気に入り、
一棟まるごとお買い上げしたそうな。
なんたる大人買い!

以来100年を超えて、この建物が
欧州の地にそのまま残っているんです。

さあ、果たしてどんなクオリティの
何が残されているのか!楽しみすぎて血圧上がる!
(そんな観光客はあまりいないが)

今回のブリュッセル行きでは、
この万博の遺産である日本建築を
実際に目にするのを
心の底から楽しみにしていました…。
血圧が上がるほど…。

同じ1900年のパリ万博の建築と言えば、
グランパレ、プチパレ、
そしてパリで最も美しい橋として知られる
アレクサンドル三世橋があります。

そう考えると、当時のパビリオンって豪華。

当時、日本の万博担当チームは
宮大工さんたちを連れてパリに行き、
このパビリオンを建てたそうだ。
法隆寺の金堂を模した建築なのだとか。

どんな建物だろう。
ヨーロッパ受けを狙ってうっかり
変なもの(ぱちもん)をつくってたらどうしよう。

あるいは移築後に、メンテ方法が判らなくて
すでにボロボロだったらどうしよう。

そんな不安をもちながら、
だだっ広い公園の中をひたすら歩く。
(相当広いので覚悟が必要)

紅葉する樹々の間から見えた Tour Japonaise

そして見えてきたのが、こちら。

おお。これは。

ぱっと見た感じ、状態は良さそう。
だいじょうぶかな。がっかりさせないでくれ。

まずは、道路反対のチケットブースを探して、
大人1枚4ユーロでチケット購入。(安い!)
「塔の中は、1階(日本でいう2階)までしか
 入れません」と、ベルギー風アクセントの
フランス語で説明を受ける。
成る程、てっぺんまで登れると思ってる人が多い訳ね。

そしてチケットブース横の階段を降り、屋外にでると…

素晴らしい庭でした。

これを移築したとは…

ここ、どこ?って一瞬思う。まるで京都。
少し紅葉していたのも、最高でした。

恐る恐る、入口の木扉をあけ、建物内部に入る

なんと本当に、中もまともに日本建築。
(さすが宮大工さん)

1900年当時の日本の海外輸出品の中でも
特に重要だった陶芸品などが
美しくライトアップされて並ぶ。

武士のレリーフが見事
竹細工
染付

低い位置からのライティングには
日本文化への深い理解と愛情が感じられて、
それさえも、なんだか嬉しかった。
床などの低い場所に灯りを置く
日本の文化に近しいから。

階段部分は、目黒雅叙園の階段を思わせる。
(千と千尋の神隠しのモデルになった建物です)
天井の照明はアールヌーボー。

梁がこれでもかと装飾されてる

館内のステンドグラスは
いつどこで作ったものか判らなかったけれど、
この人物の顔は、日本人が描いてるに違いない。

欄間、天井画、なんとお仏壇もある

2階に上がると、薄暗い中に輝く金彩の空間が。

ここには、なんとお仏壇も展示してありました。
ガラス張りで、近寄れないようにされていたけれど、
大きくて立派なものでした。

余談ですが、個人個人の家の中に、
仏壇という「亡くなった人を奉る空間」が
有るというのは、欧州の人たちにとって
全く馴染みの無い文化なんです。
(クラスで話したら、物凄く驚かれました)

朝晩、仏壇にお茶やお線香をあげたりするというのも
とても不思議に感じる習慣なのだとか。

日本人にとって、あの世や亡くなった人の存在は
遠い彼方のものではない。
あの世とこの世の境界が
キリスト教的世界よりも曖昧なんだろう。
肉体は焼いて失くなっても、魂は近くにあると。

そんな日本文化の精神性が、
実は仏壇文化にも現れているのかもしれない。

何度も見たくなる、見事な工芸品

他に置いてある展示品も
本当に一つ一つ見事なものでしたが、
とてもユーモラスでかわいらしかったのが、これ。

冬の洞窟に、シロクマが隠れてる。

2頭が仲良く顔をのぞかせる。

この近くには日本美術館も有って、
(極東博物館の裏手にひっそりと…)
先ほどの五重塔?に入った4ユーロのチケットで
そのまま入館できます。

日本美術館の外観。これは何風なんだろ?

日本美術館の展示品も、大変素晴らしいものでした。
甲冑数体、刀剣一式、浮世絵、着物、
装飾の見事な矢筒(たぶん儀式用)なども展示。
数は少ないけれど、見応えのある品です。
いいもの置いてた。(ここは撮影禁止でした)

ベルギーでこの建物を100年も残してくださっていたことに感謝

館内も、展示品も、とてもきれいにしてありました。
ベルギーありがとう!大事にしてくれてありがとう!
と感謝の気持ちで一杯になれました。
一気にベルギーファンになってしまったくらい。

海外旅行に来て、わざわざ日本美術を見る事は
少ないかもしれませんが、
これが国際都市ブリュッセルに展示されていて、
意外に様々な国籍の人が見に来ている…
というのを知ってほしくて、
大量の写真付きでこの記事を書いてしまいました。
ベルギー在住の日本人の皆様、ラーケン公園に
いらした折には、是非一度訪れてみてください。

そして、これを建ててくれた100年前の大工さんたち。
ありがとうございました!ちゃんと残ってますよ!

2022年現在、五重塔の館内には入れなくなっている模様。いいものを置いていたのに本当に残念。これまでも維持費が相当かかっていたのではないでしょうか…。
ベルギーに感謝を込めて、せめて写真だけでもここに残しておきます。

 

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