また もりへ。ヴァンセンヌの森を散歩。

フランス社会・街並み・建築
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「また 森へ」
 マリー・ホール・エッツ著の絵本がありましたね。

(福音館書店さんのサイトより)

さて昨年の今頃は、パリ西部の
ブローニュの森を散歩しました。
今年はパリ東部、
ヴァンセンヌの森とお城を散策します。

ヴァンセンヌの森の最寄り駅は数カ所ありますが
今回はメトロ1番線の終点駅、
シャトー・ド・ヴァンセンヌ駅から散歩開始。
パリ市内からも、割とすぐです。

只今パリは、小学校から大学まで、バカンス期間中。
この期間は、ヴァンセンヌの森の中への
車両乗り入れが制限されています。

森での交通事故防止の目的も有るでしょうが、
森の中の空気が澄んで、誠によいことです。
パリ市内は、ホントに空気汚いから。

ヴァンセンヌにお城ができた経緯

元々、ヴァンセンヌの森は、
ある修道院の所有地だったのですが、
12世紀に(日本は鎌倉時代)王の所有になりました。

14世紀、他所の修道院で育った物静かな王様
ルイ7世がこの地を気に入って、狩猟の為の
館を建てます。
以後、いろんな王様や支配者が増改築し、
今に至ります。

ヴァンセンヌを気に入っていた王様、結構いたみたい。

ルーブルなんかは、建てたはいいけど、
王様たちが気に入らず、殆ど住まなかったし…
(勿体無い)

そうなるとヴァンセンヌ城は真っ当に
「王が使った城」だったと言えるかも。

フランス王家の百合の紋章が見える

長い長い修復工事、やっと完了。

2007年まで12年もの間、
城塞部分は修復工事中でした(長い!)

更に言うと、城全体は
何と第2次大戦直後から修復が続けられており、
1994年からは大規模な考古学的発掘作業も行われ、
ようやく建築手法や増改築の時期等が
判ってきたところ。
(だから今のガイドブックには情報がまだない)

現在、この城塞部分と礼拝堂の内部を見学することができます。

ドラクエのお城だよ。

用途いろいろ、ヴァンセンヌ城

15世紀には、派手好きの太陽王、ルイ14世が
ヴェルサイユ宮殿へ引っ越すまでの間、
ここに仮住まいをしていたことも。

18世紀のフランス革命後には、兵器庫にされ…。
その後はさらにナポレオンが実戦用の城塞に改築し…。
見た目シンプルなお城だけど、改築史がすごい。

見学時、城内に家具等は無くて
がらんとした感じだったのですが、
これだけいろいろあったら昔の家具なんて残らないな。

がらんと広い空間。天井が高い

森そのものが、パリ市民に開放されたのは
19世紀中盤、ナポレオン三世の頃。
オスマン男爵と一緒に、パリ大改造をしてた頃です。

余談ですが、中世の城と言えば、牢獄。
ヴァンセンヌの牢獄には、
マルキ・ド・サド侯爵が7年間収監されており
その独房を見る事ができます。
独房の狭さにはびっくりです。
絶対収監されたくない。
(広いところで生きていきたい)

柱上部の左側、欠けたままの箇所も。

サントシャペル礼拝堂

綺麗でした。この陽光をしばし見つめておりました。
晴れた日に行った甲斐がありました。

フランス最古の時計、時を告げる鐘も、
この城に設置されていたそう。
時間テキトーなフランス人の、初めての時計がここに。

フランスの軍隊と縁のある森

ヴァンセンヌには他に、
国防史編纂部や陸軍施設があって、そちらは
非公開になっています。建築外観を眺めるだけ。

一瞬だけ、ある建物の門が開いていたので、
なんだろうと近づいて見ていたら
自動でがしゃんと門が閉じました…立入禁止だった。
うっかり不審者になってしまうところだった。
(防犯カメラがあったので、写真撮影もエンリョしときました)

2次大戦の後は
陸海空軍、憲兵隊の歴史部門も受け入れており、
この森は、軍や戦争に縁が有る様子。

フランス革命後、
この森は軍事演習場として使われていました。
ええ…めちゃくちゃ広いんですけど…!?
私が兵隊だったらすぐ迷子で、演習にならないよ。

パリ市民も憩う、植物園と遊技場

PARC FLORAL DE PARISの文字が並ぶ

雰囲気はがらっと変わって…
城のそばには、パリ市植物園があります。

私が行った日は気温20℃を超え、
八重桜の花びらが舞っていました。

桜の下でピクニックしてます
木の下は花びらでいっぱい

植物園だけでも結構広くて、ぐるっと廻るだけでも
かなり歩きます。

散歩には最高の場所。
芝生でくつろぐ人がいっぱい

丁度、チューリップの花壇が満開の時期。

なんと、日本の「盆栽」パビリオンもあります。

他に、サボテン館やアートスペース、カフェ等も。

バカンス期間中なので、
子供が遊べるプレイコーナーは物凄い盛り上がり。
手前の卓球スペースでは、大人も遊んでいます。

上の方まで臆さず登る子供たち

それから、森の樹々をターザンみたいに
ロープで伝って移動できるアスレチックもあり、
これは私もやりたかったです。
(残念ながらこども専用みたいでしたが)

確かにこれなら子供も一日飽きないで楽しめます。

なんと植物園名のオブジェさえ、
コドモにとっては只のジャングルジムだった。

予定では、植物園はさっと見るだけのつもりで、
この日は別な目的(住宅街の撮影)があったのですが
昨年のブローニュに引き続き
またもや森が広すぎて迷い、住宅街の方向が判ら
たどり着けなかった…

あきらめて、植物園散歩までで、この日は終了。
でもお城と植物園だけで十分楽しめました。
久々に、大きな樹々に囲まれたのも良かったし。

ごはんも食べずに歩いてたので、駅前のカフェで食事してきました。ポテト盛り盛り。

ま、たまには、車の音のしないところで
一日ゆっくりしたいからね。

<参考に>
ヴァンセンヌ城 入場料9.5€。
(日本語リーフレットあり)
パリ市植物園 入場無料。
とにかく広いので、歩きやすい靴は必須。

<念の為>
ブローニュと同じく、森の中を、たとえ昼間でも
人気の無い場所を女性だけで歩く時は
くれぐれも気をつけてください。
そもそも、人気のあるところだけにしましょう。
この記事を読んで、変なとこを一人で歩き廻らないで
くださいね。
まあ男一人でも場所によっては危険です。パリだもの。

あんなに迷うなら、水筒持って行けば良かったか…

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