パリの火事現場で、木材の強さをみた話。

フランス社会・街並み・建築
この記事は約2分で読めます。

パリにきてから時々、
「あ、ここ火事があったんだ」という場所を見ます。

オスマン式の石造りの建物で
室内が火元の場合は
大抵、炎で窓ガラスが割れてしまっていて、
その窓から上に向かって、壁を煙が伝ったであろう
煤の痕が残っているので、すぐ判ります。

石で出来てる建物自体は、もちろん燃えないので
建物外側に関しては、あとで煤を洗い落とすだけ。

しかし勿論、内装は煤だらけ…。
部屋じゅう真っ黒なのが、通りからも見える状態でも
まあ、しばらくは、ほったらかしです。
フランス人、いそがない。

とりあえず、焼けてしまって、捨てる家具が、
建物の外に集められ
これもしばらく山積みになっています…。
何ともはや。

ところが先日、ある住宅地にて
妙な火事痕を見つけました。

建物の「外側ばかり」が煤だらけ、
建物前の道路面まで、真っ黒になってる。
これは、室内から燃えたんじゃないね。

せめて怪我人が出ていませんように

どうやらここは
建物外側からガソリンをまかれて放火された模様。
成る程、それでこの状態か。
道路面が、黒く照り照りになってる理由が判った。

それにしても、分厚い木製の玄関ドアは、
燃え落ちずにちゃんと残っていて、ちょっと感激。

「火事のとき、木はすぐ燃えてしまう」というのは、
ある意味、誤解なんです。

分厚い木の板や、太い木の柱の場合、
まず、炎にさらされた木の表面が「炭化」します。

このドア板のアップの写真をみると、
表面がボコボコと「炭化」しているのが判ります↓

木が炭化した部分がファイアブロックとなって
ドア板の内部まで火が廻るのを遅らせ
中身を一定時間守ったのです。

だから、このドアを開けた建物内部は、
なんと無傷!ペンキの色もそのまま。
きれいでしたよ。
(ドアが空いた隙にちらっと見たので。
 住人に申し訳なくて、写真は撮らず。)

そしてこの建物、
入り口がこの状態だけど、フツーにこのドア使って、
住人がいつも通り暮らせてました。(これから直す)
脅威の、ファイアブロック能力!

鉄の構造材は、約550℃を超えると、
一気にぐにゃっと変形して
内部空間がつぶれてしまうことがあるので、
消防士さんが、鉄骨の火事現場に入る時は
その瞬間を危惧します。
(温度なんて見た目で判らないから怖い)

でも、木造でしっかりした構造材を用いていれば
崩れ落ちるまでの時間は、実はかなり稼げる。

…理屈では知っていたけれど。

実際に炭化して
ファイアブロックになっていた木板を
実物で見るのは初めてです。

ちょっとだけ、指でドア表面にふれてみました。
炭化した木の表面は、カチコチ。
崩れる様子もなし。

石の街パリで、木の素晴らしさを、再確認しました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました