パリカトのボランティアの方が開催してくださる
土曜散歩の会で
マレ地区の Le Carreau du Temple という
エッフェル塔と同じ時代、1860年に建てられた
鉄骨建築のリノベーション現場を見てきました。
パリのリノベ案件といえば、有名なところでは
オルセー美術館も元は鉄道駅舎を改築したもの。
他にも様々なリノベ物件があり
単にリフォームして綺麗にするのではなく
現代の都市のニーズにあったものに作り替え
使い続けていく、
その用途変更っぷりがダイナミックでなかなか面白いです。
例えば
◾️営業倉庫→複合文化施設
◾️冷蔵倉庫→芸術施設
というのは何となくわかる。
すごいのは
◾️市営葬儀場→芸術施設
なんていう改修もあるんです。
そもそもモンパルナス墓地が観光スポットに
なるくらいだから、
その辺りの感覚は日本と違うんですかね。
さてこのCarreau du Temple、
元々は古い市場でした。
(その前はテンプル騎士団が使用)
パリのマルシェ(市場)には
その時間帯だけ出現する仮設マルシェと
屋根付きの常設マルシェの2種類があって
この鉄骨建築は常設マルシェとして
使用されていました。
下記サイトにその当時の写真が載っています。
リノベ後は、いわゆる文化施設になる予定。
1970年台には
鉄骨ごと全部撤去する案がでていましたが
2000年台になって
パリのドラノエ市長が建物を残す方針を示し
3区住民たちも参加するプランコンペの結果
Studio Milouが
リノベーションを手がけることが決まりました。
このStudio Milouは
世界各所で歴史的建造物のリノベを
数多く手がけているシンガポールの建築事務所です。
2011年4月現在は解体作業が進み
建物はほぼ骨組みだけの状態でした。
地表面が出てきたので
これから考古学的な発掘調査を行なうそうです。
(中世から人が暮らしていた場所だから、掘るといろいろでてくるんでしょう)
それにしてもこの骨組み
よく見ると実にきれいじゃないですか…
あの美しいエッフェル塔の時代の職人が
作っただけあって
細部の装飾がとてもきれいなのです。
これなら確かに残したいと思うかも。
驚いたのは、隣の建物との接続部分の処理。
地震が無いからね…
パリのくっついたビル同士が
どうなっているのか、昔から不思議でした。
なんと片側の建替の際には
難しい処置はせずに
取り敢えず切り取って、塞いどくだけなんだ…
(つっかえ棒とか、いらないらしい)
気候や地震の問題があるため
フランスと日本を同じように
語ることはできませんが
「残して使いつづけていく価値のある建物」に
きちんと価値を見出す、
パリのそういうところは尊敬します。
ちなみに、Le Carreau du Temple は
観光スポットではありません。
場所で言うと
マレ地区のブルターニュ通りという
ガラスアートやアメリカ骨董屋等が集まる場所のすぐ近くです。
先日のフランス南西部の連続銃撃事件
(トゥールーズでユダヤ人学校の生徒ら7人が
殺害された)をうけてか、
マレ地区で人気のファラフェル屋さん
(ユダヤ風サンドイッチのお店。美味しい)が
ある細い路地に、
何人もの警官が警戒に当たっていました。
こんなところにも影響が…。
普段でも
Le Carreau du Temple の「工事現場」で
写真を撮りまくる観光客なんかいませんし、
近くのカフェの客に微妙に怪しまれつつ
写真を撮る自分…。
パリカトのボランティアの人がいてくださって
よかった。職質されずに済みました。
と、ここまではフランスの建築で
うまくいっている部分の話。
バランスをとって
明日のブログは別の面も少しご紹介します。
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