フランスと日本、アフリカとの距離感が違う話。

フランス社会・街並み・建築
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今学期からはなるべく
こちらの時事ニュースにも
触れるようにしています。

テレビやラジオって、なかなか聞き取れない。
(C1とってる人でも全部はわからないらしい)
BFMというニュース専門チャンネルのサイトを
ちまちま読んでは
単語がわからず心折れる日々です。

国際ニュースの内容が違って、興味深い

日本のマスメディアが取り上げる情報と
フランスのメディアが取り上げる情報は
当然違います。
日本のメディアが扱うネタ、特に国際報道は
かなりアメリカ(英語)圏寄りと言えます。
同盟国だからか。

世界中の膨大な情報(ニュース)の中から、
◾️誰かが
◾️何らか意図をもって「選別」し
視聴者あるいは読者に伝えている。
それが「メディア」です。

だから、フランスでニュース番組をみていると
同じ星に住んでいるのに
「違う窓から世界を見ている」感じが強い。
情報の「選別方針」が、全く違うから。

特に、アフリカ関連の報道では
フランスは距離的にも近いし
かつて植民地支配していた国もあるので、
その近さ、歴史の根深さを感じることが多いです。

マリとアルジェリアの事件報道

アフリカとの距離感の違いをリアルに感じたことがありました。

2013年1月、
西アフリカ諸国のイスラム過激派への対応として
フランス軍がマリへ軍事介入したことが
連日のように報道されていましたが、
日本ではほぼ報道されず。
(フランスはマリの旧宗主国)
2月下旬の今も、マリでの戦闘は継続中で
戦況がしばしば報道されています。

マリ北部では市街地戦になっており
一般人らしき男性が
「彼はテロリストじゃない!」と
抗議している様子が画面に流れたりと
1ヶ月以上にわたる現地の混乱が伺えます。

(2022年追記:2月にマクロン大統領が
 仏軍の撤退を発表しましたが
 現地の状況はまだ芳しくない模様)

そしてマリ軍事介入の数日後、
これに反発した武装勢力が
隣国のアルジェリアで人質事件を起こしてしまう。

この事件では、日揮も参画していた
天然ガス精製プラントが襲撃され
イギリス、アメリカ、フランスのみならず
日本人の犠牲者も出ていたため
日本国内でも大きく報道されていたと
聞いています。
想いを持って働いていた人たちの事件はまた辛い。

アルジェリアの地図で見ると、
自国南側にあるマリの北部地域でおきた話が
自国東側のリビアとの国境に近い地域に波及してる。

マリとアルジェリアの地図(画像:Unsplashから)

物理的な距離だけでみてみたら、
長崎で起きた事件が、
北海道の富良野に波及したってくらい離れてた。

遠い。
アフリカは広い。
そして国々が陸続きになっている。

在外自国民のニュースが結構多い

それから2月中旬、カメルーン北部での
フランス人家族7名(子供4名含む)誘拐事件。

そして更に、ナイジェリアでも
フランス人のグループが2組、
誘拐されたままの状態になっています。

アフリカ諸国で暮らしているフランス人も
それだけ多いってことか。

アフリカってものすごく広い。アフリカ情報おすすめサイト2つ

フランスのニュースには様々なアフリカの国々が
登場します。(日本よりもかなり高頻度です)
それをみながら、アフリカは本当に広く、
全体をひとくくりに掴むのは難しいという現実が
日本にいた時よりも少しわかってきた気がする。

<2022追記:おすすめサイト>
アフリカってめっちゃ広いんです!
その広さがわかる、面白い地図。ぜひ見てみて。

今のところ私には、アフリカ大陸でいうと
エジプトしか渡航経験がないんですよね。
それさえ、観光可能なエリアを限定して回っただけ。

フランスに来てから1年、
アフリカのどの国が、どこの植民地だったか、
そしてどこからの移民が多いのか等、
なんとなく意識するようになりました。
それが、ある意味でパリの日常だからかも。
彼等の姿が目に入らない日は無いから。

ちなみに、JICAと池上彰さんがまとめている
日経ビジネスの下記サイトも、
いまのアフリカの状況や経済がよくわかります。

フランス語のヒアリング問題で
国際報道のネタが出ることもあるし
とりあえず日本語ででも
多少の情報を仕入れておきたいな、と。
(私は知らなさすぎました…)

兵役経験のある世代、ない世代で、ニュースへの反応がちょっと違う

さてもう一つ、フランスでニュースをみていて
気になったこと。

上記のマリの軍事介入については、
フランス人の中でも
世代によって反応が違う模様。
それには兵役の有無も関わっているらしい。

フランスには、革命以降ずっと
「兵役」がありました。(1793年〜)
世界大戦中、そして戦後も、
一般の男子を集める徴兵制度があったわけです。

これが東西冷戦終結後、
シラク大統領の時に徴兵制廃止となり(1996年)
それ以降はプロの兵士が
職業としてフランス軍に入隊しています。

今は軍の兵器や技術も高度になり、
フツーの男の子達を鍛えるだけでは
済まなくなってるというのも
一部有るのかもしれませんが…。
湾岸戦争以降、
遠隔で戦争できる時代も始まっている。

ちなみにフランスでは、
テレビで陸軍や海軍隊員募集のCMが流れます。

今のフランス社会は、
この兵役経験の有り無し両者が混在する
「狭間」の時代と言えます。

具体的には
私の少し下の世代までは兵役があったので、
今の20代のフランス人はほぼ軍隊未経験ですが
50代の男性教諭達は、全員が兵役経験者
という状況です。

もちろん、ドンパチだけじゃなく
軍にも様々な職掌が有るけれど、
軍隊というものを経験した人の言葉は、
私に時折ちくちく刺さります。

日中のパリで見かけたアフリカ系若者の姿

それから、街歩きしていて気づくこと。

例えばこの間、10区のアフリカ人街付近を
「平日の真っ昼間」に歩いてきました。
すると、その時間帯にも関わらず
勤労世代であるはずの若者が
結構な人数で道にたむろしている。
これって、何か、ふしぎだなと。

私は、パリの各地区を見るのは
平日の昼間に決めています。
まあまあ同じ条件で、雰囲気を比べるためです。

もしこれが13区の中華街で、
引退世代のおじいちゃんたちが
道で囲碁やってるとかだったら、分かる。
だけど、いい若い者が大勢で何もする事無く
昼間の都会で時間をすごしているというのが
私には一瞬、不思議に思えたのでした。

アフリカルーツの若者で
日々働いてる人もたくさんいるので、
これも一部の話だとは思いますが。
(フランスは失業保険も手厚い)

今の私には
アフリカ諸国、都会の一角、
平日、日中の光景というのが
現地の経験がなく
イメージできないのですが

少なくとも、パリ市内の他の地区で
ここまで「若者」が集まって
日中からウロウロしている事は少なかった。
働く若者に、そんな時間はないからだ。

20区全部、おんなじように歩いてみたので
この感覚は然程ズレていないだろう。

「アルジェリア、トルコ、モーリシャスへの
 通話料金が1分◯€!」
なんて張り紙がいっぱいのスマホショップの前で
若者が集まって談笑していたのを思い起こす。

人間それぞれ、
どこで何をして生きていくのが
幸せなんだろうか。

こんな感じで…
最近のニュース映像と、
パリの街の様子が
頭の中で上手く整理できないままでいます。

しまいには、
油絵の具のペーストが
思うように混ざり合わない感覚まで思い出した。

何の色にも、決まらないままなのだ…。

とりあえず整理できなくてもいいので
私の記憶のメモ帳にしっかり留めておきます。

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