建物単体の問題じゃなく、ヌイイの街がすごかった話。

フランス社会・街並み・建築
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ヌイイは凄い。

今回は「パリ郊外の街あるき」シリーズ
第1弾、ヌイイ市篇です。写真多めでどうぞ。

パリ市の北西、Neuilly-sur-Seine市は、高級住宅街。
以前、アメリカンホスピタルに行った時から、
すごい所だなと思ってましたが、
緑あふれるこの季節、更に凄い。

建物が見えないほどの緑。

心なしか、車もピカピカな気がするけど。

歩行者も、パリジャンより、ゆったり歩く。

隣の市との境目がくっきりわかる

ヌイイ市と
その北側にあるルバロワ・ペレ市との
市境の交差点に立ち、ペレ市側をみるとこんな感じ。

建物が普通に見えてるペレ市側

そのままの場所でくるりと「振り向いて」
ヌイイ市側をみると、こんな感じだ。

街路樹で建物が見えないヌイイ…

180度振り向くだけで、別世界だった。

一つ一つの街区が大きい

地図でみても
アメリカンホスピタル付近の街区はかなり大きい。

棟間距離(建物と建物の距離のこと)も、
道路を挟んで何十メートルとれてるんだか!

広々してて気持ちがいい。日本だともっとギュッとコンパクト…

緑の間からみえる、建物ファサード。

ゲートもいいですね

もはや森だか住宅街だか分からないレベルの緑被率。

ブローニュの森の大通りみたいに見える

ここは有名企業数社の
社宅かオフィスのようですが。

敷地の際からみても、
道路から建物はこんなに離れている。

これなら、建物同士でお見合いになったって、
向かいの建物の事なんか、気にならないだろう。

建物個別のデザインに着目すると

別に、ヌイイにある個別の建物が、
ぜんぶ特別に格好いい訳でもなく、
こんな感じの、古い団地みたいな住宅も多い。
(すみません)

レンガ造っぽいな…古そうだ
ゲートのアイアンも、ここはシンプル
でも、雰囲気は悪くないんだよね…

オスマンっぽい住宅もあれば…

アールヌーボー式のキャノピーも見かけるし…

建物のデザインは本当にバラバラなんですよね。

むしろ、
オスマン式ではない、シンプル建物が多い。

それでもこの空間の取り方や
緑被率(りょくひりつ)の高さによって
ヌイイの醸し出している雰囲気は、圧倒的だ。

ゆっくり腰掛けたくなるベンチ

ヌイイの成り立ちと現在

ナポレオン三世の第二帝政の頃、
この地域にもオスマン式の住宅が建ち始めた。

その後、パリコミューンの騒乱の時代には
ここヌイイでも多くの建物が破壊されたし、

第2次大戦の頃には
ドイツ軍がヌイイにも来ていたり…、
そんな歴史がある街。

ブローニュの森や、パリ17区の一部も
昔はヌイイ市の一部だったのが、
パリ市に割譲されたのだそう。
(注:今も割と「いい」街区とされているエリアが
   だいたい元ヌイイかな。
   17区は地域によって雰囲気の差が大きい)

現在は、欧州随一の商業区域である
ラ・デファンス地区と、
パリ市の国際会議場(Palais de Congrès)の間に
位置しながらも、
ヌイイは穏やかな高級住宅地として名を馳せる。

パスや電車等の公共交通は
パリ市内に比べたら少々不便だけれど、
そもそも住人がこの街に求めるものは
パリとは違うってことらしい。

便利さ以外の、価値がある。

市役所近くは少し雰囲気が違う

ヌイイ市役所の近くの街区には、
旧区画と旧道路が
そのまま残っている場所もあります。

一戸建ても、少しですが存在します。

それから、少し小さめのアパルトマンの並ぶ地区も。

アメホス近くとはだいぶ雰囲気が違う

棟と棟が近いだけで、街の雰囲気が全然違うって
よくわかった。

そして、アメホス付近を歩いても
殆どお店ってものを見かけなかったけれど
市役所近くにいくと、カフェやお店が。

向かいの建物の一階には、カフェが入っている。パリではよくある形態だけど、アメホス付近には、そもそもこういう建物もなかったな。

それでも…
ヌイイの瀟洒な住宅の集まる地区は
おそらく広い家ばかりだろうし(勝手な想像)
買い置きをストックするスペースや
大きな冷蔵庫も当然あって、
別に普段の生活には困らない住人ばかり
なんだろうなー。(勝手な想像)

一人暮らし用の狭い物件なんて、無さそうだし。

この辺りは、2〜3階建くらいの低層住宅街でした

日曜日の賑わいをみせる教会、休日のリセ、公園

私は日曜日にこの地区を散歩してきたのですが、
ミサが終わる時間帯だったのか
教会の庭で、集まって昼食をとる人たちが居ました。

こちらは、リセ・パスツール。

1914年に完成した建物。
第1次大戦までは
アメリカ救急病院として使われていた場所。
(Hôpital à l’Ambulance américaine)
…ひょっとして、アメホスの元?

そしてもちろん、市民の公園もあります。
パリと同じく、利用可能時間が決まってる。

遊具は他と変わらないかな。

日本にもこんな住宅街があったら…と夢をみる

ヌイイは、パリ市内より空気が澄んでいて、
散歩するにはとても気持ちがいいところでした。

歩きながら、
東京都心では、これは無理だろうけど、
日本の地方都市にこんな住宅街ができたら
いいんだけど、なんて
一人でシミュレーションしてました。

現実には、これだけ土地の余白をとるには
地価が相当安くないとできないだろうし、
「そんな場所」に人が集まって
「継続的に」住んでくれるような仕掛けも
要るだろうし…

建物個別の問題より、
いい「街」の経済的成立要件って複雑だよね。

参考:ヌイイ市への交通アクセス

パリ市内からは、ヌイイのアメホスに行く
日本人の方が多いと思います。

その場合は、
◾️市バス82番
(リュクサンブール公園〜アメリカンホスピタル)か
◾️市バス93番
(Suresnes-De Gaulle〜アンバリッド)
が便利です。
今回歩いたヌイイ市北部に行けます。
(普通にメトロで使うカルネで乗れます)

メトロだと、アメホス近くまでは少し歩くので、
体調の悪い時は、上記バスの方が楽に行けます。

通院がなくても、お散歩するのにいい街かと。

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