一月後半のパリの様子、そしてフランスの新聞業界の話。

フランス社会・街並み・建築
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気づけば1月も後半。
試験期間も終わり、留学中に辿り着きたかった
レベルのクラスに、次の最終学期で
何とか手が届くことになり、一息ついています。

1月半ばになると
パリ市内のクリスマスのイルミネーションが、
徐々に取り外されます。のんびりペースの作業です。
撤去のタイミングはバラバラで、
レンヌ通りはもう撤去済み、
でもあっちの通りはまだキラキラ…という感じ。

まだキラキラが残ってた時のレンヌ通り

もったいないから、エッフェル塔が見える通りに行き
撤去前の記念に1枚。

この通りからの、エッフェル塔の見え方は好きだ。

年末年始のフランステレビ事情

ちなみにフランスでは、1月いっぱいは
Bonne année!(あけましておめでとう)とか
Meilleurs voeux!(願い事が叶いますように)とか
新年の挨拶を言ってもオッケー。こちらものんびり。

さて、年末年始の特別編成テレビというものが、
あまり無いフランス。
大晦日の大騒ぎを、実況中継するくらいですかね。
他に、年末ならではのテレビコンテンツといえば、
クリスマスのご馳走の残りの鶏肉を
アレンジした料理の紹介をやってました。

年末年始は特番ばかりの日本とは大分違う。

フランス人の普段の情報源って?

フランス人の日常的な情報源としては、
テレビ、ラジオ、インターネット。
他に紙媒体では
日刊新聞、週刊誌、月刊誌、
月2回の雑誌などがあげられます。

それから新聞っぽい体裁の無料情報誌も人気です。
(20minutes等)
メトロの駅に何種類も置いてあり
学校へ行くまでの間に、好きなのを選べる程。
雑誌というより新聞っぽく、
報道内容も、左系から右系までいろいろです。

テレビだと、夜8時のニュースが中心になっています。
夕食が日本人より遅くて、夜8時頃だからでしょうか。

あとは、実はテレビよりむしろ
ラジオが結構メジャーな情報源のようです。

シャンパンフラッシュ!

日刊新聞が発行部数を落とし、地域紙が人気のフランス新聞業界

新聞はというと、この30年間で
日刊紙が発行部数をだいぶ落としています。

上記の無料紙が始まるよりずっと前から
読者が減ってきているので、
特に無料紙発行だけの影響ではない様子。

一方で、面白いのは
全国紙ではなく「地域新聞」が
とっても元気なフランス。
(日本は、地域新聞のほうが苦しい)

地域新聞には大したニュースは載っていないのですが
地域の季節行事、地元の老人ホームの話などが
人気だそうです。
自分の身近の、地域の暮らしを大切にする
フランスらしい状況に感じます。

「FRANCOSCOPIE」という、2年に1回発行される
フランス人の生活調査まとめ本(32€)によりますと
フランス人の1/6が日刊紙を読んでいて、
4/10が地域新聞を読んでいるのだそうです。
…何と、地域新聞は、日刊紙より人気なんです!

FRANCOSCOPIEは、辞書も発行している
Larousse社の本なんですよね。
ペーパーバックあります(ハードカバーは高い…)

フランスで日刊新聞が読まれなくなった理由

ご近所シリーズ

ここで、日刊紙が読まれなくなった原因の一つ、
それもフランス社会の仕組みのお話を。

フランスで、日刊紙を購読契約した場合、
配達するのは新聞社ではなく、La Poste(郵便局)。
新聞配達専門の会社って、フランスには、ないんです。

そして、La Posteの労働者の勤務時間をみると
法律上、早朝は禁止されているので
フランスで各家庭に日刊新聞が配達されるのは
何と朝10時すぎになる。

そんな時間、みんなとっくに出勤済みですよ!(笑)
「最新の」経済新聞ニュースなんかも
帰宅してから読むことになる…。
そんなの今時、全然「最新」情報じゃない。

購読契約しない場合は、街中の売店で
日刊新聞を買う手もあるけど、売店も少ない。

このように、現代人の情報収集ペースに
追いついていないのが原因で
日刊紙の読者が減ったのだといわれています。
(帰宅までに、他のソースで情報チェックできるし)

確かに現代の生活で、
夜まで日刊新聞を待てない人はいるだろう。

昔の人の情報スピード感って、
例えばボアロやホームズが
毎朝の新聞でいろいろチェックしてるけど、
海外ニュースだって
大体あの朝イチの新聞だけだったわけで…。

現代人は、一日中、いつでも、
情報を入手できるようになったから。


日刊紙の読者層が減りすぎて
新聞社の経営が成り立たず
国から補助金が出ている程の状態だけど、
朝配達のシステムにしようって話にはならない。
もはや朝配達してもだめだし。
(そもそも国から補助金受けてる新聞社って
 どうなんでしょうね。
 政府寄りの報道になりかねない訳で。)

日本でおなじみの、朝の新聞配達システムは、
日本、韓国、アメリカ等で、
新聞社がかかえる配達会社があって、成立しています。

中国だと、新聞は郵便局が配達しています。
中国の郵便局員の早朝勤務については
特に法律の縛りは無いので
こちらでも早朝配達が実現できているらしい。

ようするに、
「新聞は早朝、オウチに届くもの」っていうのは、
世界の当たり前じゃないってこと。

いろんな仕組みがあって、社会が成り立っている…
自分の当たり前と、世界の当たり前はちがう。
海外で暮らすと、自分の当たり前は取っ払われていく。
こうやって気付くのが、とってもおもしろい。

いつものお肉屋さん、年末年始までこの飾り付けでした。

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