フランス最大の書籍見本市、Salon du Livre

フランス社会・街並み・建築
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ちょっと前の話になりますが
3月にパリで開催された
サロン・デュ・リーブルに行ってきました!

Salon du Livre はフランス最大の書籍見本市。
パリ国際農業見本市と同じく
15区のPorte de Versaillesで開かれます。

今年の特別招待国は日本(とロシア)なので
日本のテレビでもこのイベントが
紹介されていたようですね。
今回も写真多めの記事で、現地の様子をお届けします。

日本ブース大盛況

竹を吊るしたディスプレイが、広い会場内でも目を引きます。
このエリアでは、Gibert Josephという書店(有燐堂みたいな感じでしょうか)が日本関連の書籍をたくさん紹介しています。(もちろん購入可能)
フクシマ、原発、地震関連の本、甘えの構造、東京のグルメ本、トヨタの本
今のEU大統領のファンロンパイ氏は俳句好きで有名ですね。フラ語でもHaïkuです。松尾芭蕉、正岡子規(SHIKI 柿を食べる人…って書いてある笑。柿食えば、の子規だからか)の句集等も出版されています。
パネルディスカッションも大混雑で入れないくらい。大江健三郎さんもいらっしゃったとか

各ブースの作り方、カラーコーディネートを見るのも面白い

ブースの作り方が
シンプルだけど目を引くものが多くて
文化祭する学生さんとかにも是非参考にしてほしい(笑)

上空の丸い輪の中に、紙を二つ折りにして、本が鳥のようにふわふわ飛んでいる体のディスプレイ。簡単だけど、本のイベントらしい
シェードの色使いがきれい。紙巻いただけなんだと思うけど十分。
ルーブル美術館のブースは、色使いもシック
柱を使って魔法陣やグリーンをディスプレイした、ファンタジーもののブース。
天井の高い会場って、上の方の垂直面をうまく使うと華やか
世界遺産関連書籍のブース
ロゴをデザインしたランプシェードがかわいい
フランス国立図書館も出展しています
コカコーラの瓶の形の本。料理本が並ぶブースは色とりどり。

フランス各地の図書館建築紹介ブースも。

と、ここで私が一番食いついてみてしまったのは
図書館建築関係のブース。

フランス各地に、こんなに沢山の
図書館計画があることにちょっと驚く。
プレゼンボードが
「グレージュ+他の色(緑、オレンジ、青、紫etc)」
と色分けされていて
見る限りでも5つ以上の建築計画が展示されていました。

◾️レム・コールハース事務所設計 Caenの図書館
(Alexis de Tocqueville library)
 Googleマップはこちら

レム•コールハース設計。
樹脂を使った建築模型。「レムコールハース事務所の模型だ!」と、その場にいた知らない人と、感激して盛り上がりました。(あの人、どこの国の人だったのか)。Googleマップ(2022現在)でみると、本当にこのまま建っていてびっくり
お金かかってそうな模型…樹脂の中に、家具の表現まで埋め込んである。横から見たら、床厚とかもちゃんと表現されてるみたい。

◾️ティオンビルの公立図書館
(Puzzle – Media Thionville)。
 Googleマップはこちら

これもGoogleマップでみると、外観ほぼそのまま完成しています(2022現在)

◾️南仏のVitrollesにあるメディアセンター
(La Passerelle)。Googleマップはこちら

これもストリートビューでみると、このまま建ってます(2022現在)

他にも各種。

フランスの色使い、特にグレーベージュの使い方をチェックしてしまいます。

日本のアニメやMangaも大人気。

さて、ここから日本の漫画のお話です。
上記のGibertのブースでもそうでしたが
フランスでは日本の漫画やアニメも
人気を集めています。
会場では、子供達がべったり床に座って
漫画を読みふけっていました。
(本屋でもこういう風景をよく見かけます)

ジャンプ漫画もフランスでフツーに読める。

↓このPika Editionが日本の漫画を
 数多く翻訳出版してます。

そういえばあのワイン漫画「神の雫」も
フランス語訳になって出版されていました。
(フランス人も認める内容ってこと?)
紙の漫画単行本は1冊6ユーロくらい。
子供にとってはちょっと高い買い物でしょうか。

70年代、80年代のレトロアニメ、70〜90年代のレトロゲームの紹介まで…

ドラゴンボールは
毎日あちこちのテレビ局で放送されていますし
他にはナルトも放送中です。
特に今年は、ナルトアニメ化10周年で
特集ブースまで儲けられていました。

5m程はある巨大なナルトバルーン人形の前で
大人達が嬉しそうに写真撮影してますし
更には会場入り口付近で
ナルトのビニールバッグが配布され始めると
大人から子供まで殺到する。
(私も記念に頂きました)

渡仏当初、子供向けテレビ番組が
ヒアリングの練習になるかと思ったら
フランスの声優が
変にキャラクターを演じた喋り方をしているので
これはまずいと思い
参考にするのは即刻やめました(笑)
(おかしな喋り方の外国人になってしまう…)

そして不思議と
いわゆる萌え声というのでしょうか、
女性キャラクターがキンキンした高い声で
吹き替えられることはありません。

個人的に
日本の萌え声が嫌いなので助かりますが
こう言うところに喋り方の文化の違いも
見受けられます。
(キンキン声=頭が悪い人物、と言うイメージ)
高い声で演じられるキャラは幼児くらいで
少女キャラでもそこまでキンキン声にはなりません。

それと面白かったのは
ある日、テレビをつけたまま
掃除をしていたら
ふと懐かしい音が流れてきました。
何だろうと思って見回すと
アニメのBGMに
蝉の声や和太鼓の音が混じっていたのでした。

特にナルトのサントラには
三味線や和太鼓など
日本古来の楽器がいろいろと使われていて
それが当たり前に
テレビから流れてくるんですよね。
フランスの子供達にも耳馴染みのある音に
なっていくのかもしれません。

↓ナルト、ワンピース、銀魂、黒執事、デスノートなどはKanaが出版。

私の大好きな「鋼の錬金術師」のタイトルロゴがそのまま明朝体の漢字で出てるのが嬉しい。ポケモン、聖おにいさんも紹介中。

水木しげるの「のんのんばあ」も
シリーズで出版されています。
あの日本の怪しく懐かしい世界観が
フランスで読まれているのかと、
これもかなり驚きました。
ガロや、白土三平のカムイ伝のパネルもありました。

もちろん、こちらには
フランス人作家の漫画もありますし
他のアジア系諸国の漫画、アメコミもあります。
(「タンタン」はベルギーの漫画)
それでも今回見てきたところでは
圧倒的に日本の漫画の展示が多い。
(◾️2022年追記。フランス政府がコロナ禍に若者向けに配布した文化体験クーポン300ユーロのほとんどが、日本の電子版Manga購入に使われたと、仏各紙でも話題になっていました…。東洋経済の記事はこちら

この浸透具合、手塚治虫先生が生きていらしたら
喜んでくださるでしょうか。

2022年から、Festival du Livre de Parisとして復活!

2020年、2021年とコロナの影響で
中止になっていたSalon du livreが
今年はFestival du livreとして
復活開催されることになりました。
(会場はグランパレ。2022年4月22日〜24日開催で入場無料、オンライン予約必須)

Salon du livre自体
40年続いたイベントだったそうです。
出版業界や街の本屋さんの不況は
フランスでも変わらないので
イベントを通じて
少しでも書籍文化界隈が盛り上がってくれることを祈っています。

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